トリミングサロンの自宅開業~メリットから成功させるためのポイントまで~

トリマーとなって数年が経ち、そろそろ独立したいという方が多くいらっしゃいます。
開業資金・家賃など抑えたいと思って人にとって、自宅の一室を改装、あるいはトリミングサロンを機に家を建てる計画をしている方も少なくありません。
今回は自宅開業を検討されている方に向けて、メリット・デメリットから成功させるポイントまで解説したいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。

1.トリミングサロンの自宅開業に必要な設備・器具

トリミングサロンを自宅で開業すると決めたら、先ず必要な設備や器具を用意しなければなりません。
また、自宅の一部をサロンにする場合、改装しなければならない箇所が幾つかあります。

  • トリミング台 →犬や猫を施術する時に必要なトリミング台は、「トリマーが作業しやすい」「犬猫等の行動範囲を制限できる」などの高さや広さを考慮することが大切です。高さの調整ができ、折りたたみ式、滑り止め付など優れた機能性のあるトリミング台を選ぶと良いです。また、室内のカラーに合わせると安定感のあるサロンイメージを与えます。
  • シャワー・バスタブ設備→給水・給湯・排水管工事が必要です。大型犬を扱う場合は、大きめのバスタブを選び、滑り止めマットなどを置くなど工夫すると良いでしょう。
  • 床や壁→ペットの足に負担がかからないような床材選びが大切です。壁は空間の広さを活かすために明るい色を選ぶと良いでしょう。
  • 自宅サロンの出入口や外装→自宅兼用のサロンはお客様が入店される時、入り口で迷ってしまうことがあります。できれば入(出)口と自宅用玄関を分ける良いです。
  • その他(ドライヤーやバリカン、タオル等)→施術に必要な道具ですが、器具などに合わせて収納用の棚など用意します。

主に改装が必要な設備等です。ただし、面積の大小によって異なりますが、コストを抑えた場合80万円以下で、材質や広さにこだわった改装の場合が100~2500万円程度が相場となります。

2.自宅開業のメリット・デメリット

トリミングサロンを自宅で開業する際には、経営に大きく影響するメリット・デメリットが発生します。


〈自宅開業のメリット〉

  • 固定費が抑えられる
  • 水道光熱費などの経費計上
  • 仕事とプライベートの効率化
  • 自由度が高い

・固定費や初期費用が抑えられる
→店舗を借りると賃料がかかりますが、自宅は当然発生しません。賃料は場所によって異なるものの、毎月発生する固定費は経営に影響を与えます。自宅であれば固定費を抑えられるため、他の部分(集客費用や設備器具など)に使用するという考え方もあります。

・経費計上によるメリット
→事業に直接必要となり、明確に提示できるものがある水道光熱費・広告料・物販商品・備品器具などは経費計上が可能です。また、家賃に関しても一部経費となりますが、店舗としての面積のみ可能です。

・仕事とプライベートを両立
→自宅経営は仕事とプライベートの区別が難しいと思われる人もいますが、自分の家庭立場によってはメリットになります。例えば、小さな子供の送り迎え、介護などで病院へ連れていかなければならなくなった時、営業時間・日時を決められます。
自分の都合で営業時間や定休日を決められるので、大きなメリットになるでしょう。

・働き方の自由度が高い
→トリマーは女性が多く、出産しても続けられる仕事です。自分のペースで働くことができる自宅開業は、育児と家事の両立が可能です。経営基盤を確立させる苦労はあっても、「縛られない」「自由度が高い」という働き方は店舗の存続するポイントでもありメリットになります。


〈自宅開業のデメリット〉

  • プライバシーが保てない
  • 立地場所の選択が不可
  • 近隣に対する配慮が必要

・プライバシーが保てない
→仕事場とプライベートの両立ができることはメリットになる一方で、境界線が難しく線引きが曖昧になってしまう可能性があります。仕事とプライベートのオン・オフの切り替えができないという人にはデメリットになってしまいます。

・店舗の立地選択ができない
→集客に大きく影響する立地を選ぶことができません。自宅までの利便性が悪い、集客を見込めないといったデメリットに繋がることがあります。集客に努めることはもちろんですが、経営が難しいと判断した場合には店舗を借りることを考慮しても良いでしょう。

・近隣に対する配慮
→犬や猫などの騒音や臭いが近隣に住む人たちに迷惑をかけていないか気をつけなければなりません。トラブルにならないように自宅サロンの防音・臭い対策を考取り入れて、日ごろから周囲の人達とのコミュニケーションをとるようにしましょう。

3.自宅兼トリミングサロンを開業する時の注意点

トリミングサロンを自宅開業する際に、幾つか注意しなければならないことがあります。
トリマーとしての最低限の知っておくべき注意点を解説しましょう。

3.1 動物の安全確保

特に大型犬を扱う場合、暴れる・逃げ出す・鳴きだすなどあらゆるシーンを頭に入れておきましょう。

◆床材などの配慮
施術台からの落下を防ぐための対策。万が一落下しても大きな音や動物のダメージを防ぐ床材を選ぶと良いです。

◆脱出対策
犬や猫が脱出しないように高さのあるペットゲートを設置する。

◆トリマーの長い爪やネイルは禁止
トリマーは動物の被毛カットやシャンプーなど直接肌に触れるため、爪が長いと傷をつけてしまう可能性があり、ネイルは剥がれ落ちてしまい動物に付着してしまう可能性があります。衛生面の徹底管理が重要のため、動物の安全を脅かしてしまうことは注意が必要です。

3.2 自宅周辺のリサーチ

自宅で開業する場合は、店舗を選ぶことができません。自宅の周辺環境のリサーチが必要となります。

◆自宅周辺にペットを飼っているか人が多いか
◆自宅周辺あるいは家族のなかで動物アレルギーの人はいないか
◆駐車場が自宅付近にあるか


自宅周辺でペットの散歩を見かけることが多いか少ないかで売上に影響を与えます。自サロンが気に入ってもらい常連客となって頂ければ遠方でも来店してもらえますが、開業時にはどれだけペットに関心があるのか調べておくと良いです。

近隣の人達とコミュニケーションをとることで、アレルギーの人がいた場合にサロンの情報を伝えることができます。
サロンの営業日時などの情報を伝えておくことで、動物の苦手意識のある人やアレルギーの人は気を遣ってくれる信用できるトリミングサロンというプラスのイメージになります。

お客様は車でペットを連れて来店することがあります。自宅から遠く離れた駐車場では、それだけで面倒になってしまう可能性があります。自宅と駐車場の距離や広さを確認しておきましょう。

4.自宅トリミングサロンの成功術

トリミングサロンの経営を継続させることが成功のひとつとなります。
成功までの段階は集客→継続→繁栄することが継続に繋がります。
これらを実現させるためには以下のことに心がけてはいかがでしょうか。

  • ★店舗の明確なビジョン
  • ★自宅兼仕事場のメリハリをつける
  • ★モチベーションのコントロール

自宅でのサロン経営は自分がどうしたいかという明確なビジョンがなければ成功に近づくことは難しいでしょう。自宅経営は、地域密着型のため個性的なお店作りが可能です。他店との差別化を図ることで、大きな売上につながります。

自宅開業は、プライベートと仕事のメリハリをつけることが非常に大切です。その時々の感情を仕事場または家庭に持ち越しては両方に悪影響を与えてしまいます。成功ポイントは仕事とプライベートのメリハリをつけることです。

自宅開業では、一人または人を雇う立場にあります。自分自身のメンタルのセルフケアが経営する上でのモチベーションをコントロールすることになります。
感情的にならずモチベーションをコントロールすることができ、接客・技術の向上に繋げている人が成功しています。

さいごに

いかがでしたか。いつかは独立あるいは自宅で開業したいと思われているトリマーは多いのではないでしょうか。今回のメリット・デメリットを把握してもらい、成功できるようにと解説しました。自宅で開業すると雇われ時代とは違う立場となるので、自分が一歩前進したことに気が付き感動が生まれること間違いないです。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人