
狭い厨房で営業を切り盛りしているという飲食店は少なくありません。小さなお店を持つことが夢だったとはいえ、厨房の狭さに一苦労があるのは事実です。どのように工夫してスペースを作っていけばいいのか分からないというオーナーもいらっしゃいます。
今回は、狭い厨房がレイアウトや収納のアイデアによって、広さを感じられる空間作りを紹介していきたいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
1.飲食店厨房に必要の機器・備品
近年、小さな飲食店を開業するのが夢だという方が年々増えています。
お店自体はちいさいのでお客様の集客を優先にと考えて、狭い厨房にしているお店も少なくありません。ただし、最低限必要な機器、器具で調理し、提供するまでのスペースは確保しなくてはなりません。
ここでは先ず、厨房に必要な機器・備品などを改めてみてみましょう。
☆機器
冷凍冷蔵庫:食材を保存するために必要な冷凍冷蔵庫。調理するために手を伸ばせば届く場所に設置することが理想です。
☆作業台
仕込み作業、食材のカット、盛り付けなどに使用する作業台は必須です。流し台や電子レンジの上の空きスペース、提供する料理や食品を置くと、落としてしまう可能性があります。
小型作業台でもいいので設置すると良いでしょう。
☆製氷機
ドリンクや調理する際に必要ですが、必ずしも厨房に設置しているお店は多くありません。料理人が2~3歩で作業できる範囲内にあると良いでしょう。
2.狭い厨房のレイアウト・収納の工夫

狭い厨房は、収納とレイアウトの工夫で広いスペースに早変わりすることができます。ここでは、レイアウト・収納のポイントを解説していきます。
2.1 調理作業の動線を意識する
厨房のレイアウトのポイントは作業動線を意識することです。動線に従ったレイアウトをすることで、飲食店の重要な回転率を上げるためのスピードが活かされます。
動線を活かすためには以下の事を意識しましょう。
・厨房機器の配置
調理するためのガスは奥の場所、よく使用する食材を入れる冷蔵庫はホールに近い場所、頻度の少ない冷蔵・冷凍庫は厨房の奥など、さまざまな機器設置のシュミレーションをして確かめてみると良いでしょう。
・通路幅
厨房は主に料理人が作業する場所ですが、ホールスタッフも通ります。一人だけのお店であれば60㎝~90㎝、2人以上の場合は90㎝以上の通路幅の確保が必要となります。
・掃除や整理整頓のしやすさ
掃除がしやすい厨房は、余計な備品や機器は配置されていません。また、整理整頓を心がけることで、狭い厨房でも広いスペースに感じられます。
2.2 各担当の作業場所を分ける
飲食店は調理人とホールといった担当別になっていることが多いのですが、盛り付けや簡単なデザート作りなどはホールスタッフが作業することがあります。
- 調理で火を使うゾーンは調理人に従う
- サラダやデザートの盛り付けをする作業台はホール担当が行うことが多く、すぐに提供する場合はホールの近くに配置
- 調理人とホールスタッフが頻繁に使用する機器・器具は、両方が取りやすい位置に設置
ワンオペ以外のお店は、担当ごとに作業を効率よく分担できるように作業台を設置するなど工夫しましょう。
2.3 収納は高さを活用
厨房には、調理で使用する多くの器具や備品などがあります。特に狭い厨房で効率よく作業するためには配置や収納など、限られたスペースでの工夫が必要となります。
横幅ではなく、垂直に収納をするとスペースが広く感じられます。
▼壁面を利用
フライパンや鍋などは壁面に掛けるため、壁掛けラックを付ける
▼マグネット収納
コンパクトで強力なマグネットを活用し、スチール壁面を利用。スパイスボトルやメモなどに利用することで掃除もしやすい
▼吊り下げ棚
キッチンツールであるフライ返しや計量カップ、キッチンペーパーなどを吊るしておくことで、手早い作業が可能。使用する用途別に吊るしておくことがポイントで無駄なスペースを確保しなくて済む。
▼上の空間を活用
吊り戸棚なども含む、高さのあるラックを設置することで狭い空間が広く活用できる
▼下から上へ⇒重いモノから軽いモノへ
高さを利用する場合は安全性を考慮して、重いものは下へ、軽いものは上へと収納する。
作業する際にすぐ取り出せる位置に収納しておくことがポイントです。よく使用するものもできる限り手を伸ばせば取れる場所に配置することで効率化に繋がります。
また、飲食店の形態は多々ありますが、共通する収納法は以下の通りです。
- ★高頻度使用器具等:目線から腰までの高さを考慮する
- ★中頻度使用器具等:上の空間を利用して、頭上の吊戸棚
- ★低頻度使用器具等:棚の最上段で奥へ収納
2.4 キャスター付きの作業台やワゴンを活用
厨房で既に設置している固定式以外で、作業および収納として使用するためにキャスター付きで可動式タイプの作業台を置くことをお勧めします。
※キャスターはオプションで取り付けられるものもあります。
また、選ぶ時は以下のように、活用方法や機能性、サイズ、素材などを考慮すると良いでしょう。
★用途
- 何に使用するのか明確にする
- 配膳・下膳などにも使用したい場合は可動式タイプ
- 収納性を活かし、食材や備品などを移動させたい場合はワゴンタイプ
★サイズ・素材
- サイズは厨房設備と組み合わせて、作業しやすい位置であるか確認する
- 収納のみに使用したい場合は高さを活かし、厨房スペースの隙間空間に配置できる小型ワゴン
- 耐熱性、耐食性に優れたもので、ステンレスが厨房には適している
★機能性
- ワゴンに天板が付いていることで、調理したり食材をそのまま置くことができる
- 表面に直接食材に触れるので、耐水性や耐摩擦性などに優れたものを選ぶ
3.狭い厨房の見直しチェック

厨房の狭さを諦める前に、営業オープンする前に今一度チェックをしてみましょう。
■動線チェック
- 作業している途中でよく使う冷蔵庫やコンロ、流し台は手を伸ばせば(あるいは一歩で)届く範囲に設置しているかどうか。
- 通路に二人が同時に通れる(すれ違う)幅が確保されているか(最低60㎝以上)
- 食材や食器などが作業場所の近くに配置されているか
■収納と仕込み
- 作業に使用しない器具や備品などは、作業台に無造作に置かれてないか
- 仕込み作業に必要なスペースが確保されているか
■整理整頓
- 飲食店では作業前と作業後は余計なモノが置かれていないこと
- 動線の障害物になるようなものがないかどうか、整理整頓は必要
- 作業スペースとゴミを貯めるスペースが区別して置かれているかどうか
上記のようなチェックリストを作成して、作業する前に確認しておくと良いです。
狭いスペースが広さの確保ができます。
また、効率よく作業するには収納を活かし、余計なモノを置かないことです。空き瓶やゴミなどの障害物が置かれていることで、転倒や事故に繋がることもあり、狭い厨房での処理に時間を要してしまいます。
効率の良いスペースを確保するように、各スペースのチェックをすることが大切です。
さいごに
いかがでしたか。狭い厨房でもひと工夫で、スペースの確保は十分可能です。
調理オペレーションに従った動きやすさを第一に考慮し、できることならシンプルな厨房を目指すと良いかもしれません。
そうすることで、テンポのある飲食店となり顧客満足度にも繋がることでしょう。