『事業承継税制が緩和されてスムーズに!』

相続にはさまざまな問題が生じます。

相続財産の大半が自分の会社の株式(自社株)で、相続人が複数いた場合、法律の規定によって定められた相続分(法定相続分)どおりに自社株を分割することで、
都合の悪いケースに発展することもあります。
株式はできる限り後継者に集中させて譲渡したいと思うのが一般的ですが、そのようにしたくても次のような問題が考えられます。

例えば、長男と次男の2人の子を持つ経営者が事業承継を行うとします。
長男が後継者で、3億円の自社株をすべて譲る予定です。
経営者である父には自社株の他に、土地3,000万円、預金3,000万円があり、妻に土地(3,000万円)と預金の半分の1,500万円を、次男には残りの預金1,500万円を相続するとします。

相続には、民法上の権利として相続人(遺族)に対し、「あなたには相続させない」と決めていても法定相続分の半分、つまりこの場合では、配偶者は1/2×1/2=1/4、次男には1/4×1/2=1/8の財産分与の権利があるのです。
これを遺留分といいます。

たとえ財産分与の話し合いに次男が合意したとしても、
次男には1/8となる4,500万円(株式3億円、土地3,000万円、預金3,000万円の合計額3億6,000万円の1/8)を請求する権利が残り、万が一に次男が死亡した場合には次男の遺族に請求権が残ります。
そのため、次男の合意を法的に確実なものにしておく必要があり、そのためには次男自身が家庭裁判所で許可をもらうなど、面倒な手続きをしなければならなかったのです。

贈与をスムーズにする「事業承継税制」

こうした問題に対し、国は自社株の贈与がスムーズに行われるように、事業承継にかかる円滑化法によって税制優遇措置を平成28年に制定しました。
これが「事業承継税制」です。

しかし、この税制は利用条件が複雑で、これまで利用件数が少なかったため、平成30年4月の改正で内容が大幅に変わり、利用しやすい制度に生まれ変わったのです。

先ほどの例を参考に改正内容を簡単にいうと、現在の代表者の株式を後継者である長男に承継する際の税金はゼロ。
そして、その後継者が亡くなった場合、自社株に対応する相続税(贈与税)は免除されます。

ただし、この気前のよい優遇措置は、特例措置としてキャンペーン期間が決められています。
利用する方法としては、

①平成39年12年31日までの贈与相続が対象

②特例承継企画を平成35年3月31日までに提出すること
(この特例承継計画には認定支援機関の所見が必要となります)

②の特例承継計画は、誰にどの程度の自社株を承継するかを記載することが主な内容で、簡単に作成することができます。
つまり、利用手続きも容易になったのです。

この記事を書いた人

広田 淳