『仮想通貨は投資対象として安全なのでしょうか?』

仮想通貨の利便性

今年1月に「Coincheck」が起こした仮想通貨流出事件で、
「NEM(ネム)」という仮想通貨が有名になりました。

仮想通貨の先駆けであるビットコインが登場した2009年、
価格は1BTC(1コイン)約0.07円でした。
それが2017年は230万円となり、0.07円の3285万倍という通常の投資ではありえない価格上昇をしました。

ビットコイン以外の仮想通貨をまとめてアルトコインと呼びますが、
かなりの種類が登場しています。
その数は2,000種を超えるともいわれ、しかも日々増え続けています。

仮想通貨がこれほど急増した主な理由は、
ある程度の経験を積んだプログラマーならシステムをつくることが可能であり、
かかるコストも格安だからだそうです。

そもそも仮想通貨が注目された理由は決済手段として利便性が高く、
運用システムの新しさなどでしたが、
いつからか一攫千金を狙った投資対象になってしまったことに懸念を感じます。

仮想通貨の特徴とは

仮想通貨の主な特徴を以下にまとめてみました。

①決済手段として最適
ビットコインの取引は専用のアドレスを使って行います。
アドレスは、地域や国家とは結びついておらず独立していて、
世界中で唯一のIDとなります。
取引ではこのIDを使うだけで世界中のどこへでも小額から通貨を送ることが可能で、
しかも手数料は基本無料。
国によって差はありますが、従来の銀行での送金とは、スピード、費用ともに比べものにならないほどのメリットがあります。

②不正が起こりにくいシステム
仮想通貨の最大の特徴ともいえるのが運用システムである「ブロックチェーン」。
仕組みは、運営している管理者がシステムを保証しているわけではなく、
関与する参加者がデータを公開・共有し、これをネットワークによって分散的に保持。
取引などで発生した更新情報を多くの参加者が記録者として管理し、データの整合性を互いに監視し合うことで成り立っています。

③限定された発行量
円やドル、ユーロといった中央銀行が発行する通貨は、発行量に制限がありません。
もちろん一定の歯止めはありますが、発行はいくらでもできる仕組みです。
一方、仮想通貨は発行される量の上限が決められています。
ビットコインを例に挙げると、総発行数は2,100万枚。
こうした上限が希少価値を生み、投資対象となる所以でもあるのです。

これらの特徴から仮想通貨は、
国際的に健全に機能する新しい決済通貨の登場として受け入れられるべきです。
しかし、既存のアルトコインの投資価値の成長ぶりを見ると、
次々と生まれる新しい仮想通貨に、競馬でいえば万馬券どころか1,000万馬券を夢見る人も増えるのではと心配になります。

新しい資金調達の手段「ICO」とは何か?

新たな仮想通貨発行で資金を募る手段をICO(Initial Coin Offering/新規仮想通貨公開)と呼んでいます。
資金調達をしたい企業や事業プロジェクトが、独自の仮想通貨を発行・販売し、
投資家に「コイン」や「トークン」と呼ばれるデジタル通貨(資産)を購入してもらいます。
株式を利用した従来の方法(IPO/新規株式公開)以外の資金調達手段として注目を集めています。

最近では「投資目的で購入したい」という人から相談を受けることが増えました。
そうした場合の助言として、一攫千金を狙うのではなく、
あくまで投資金額は常識の範囲内で行うことをおすすめしています。

ところでアメリカ合衆国の代35代大統領ジョン・F・ケネディの父親のジョセフ・ケネディの逸話をご存知でしょうか。
ジョセフ・ケネディは巨大な資産をバックグラウンドにした民主党の有力政治家であり投資家でした。

ある日、ジョセフケネディが少年に靴磨きをしてもらっている時に
「おじさん、株の投資はやっているの?これから株をやらないとお金は増えないよ」
と言われました。
ジョセフは靴磨きの少年までが株を買おうとしているのを知って、
すぐに持ち株のすべてを売り払ったそうです。
その後、予想通りに株が大暴落しましたが、ジョセフは被害を避けることができたという事です。

つまり、普段まったく株に縁のないような人が株に手を出そうとしたら、
もうバブルの崩壊は近いという教訓であり、今それに近いものを感じています。

相場形成の不透明さが投資家の足かせに

ビットコインに関して、注目しておきたいニュースが新年早々にありました。
米証券取引委員会(SEC)は、
米企業4社が申請していたビットコインの米上場投資信託(ETF)の上場に待ったをかけ、
「ビットコインの相場形成には疑念がある」と見解を監督当局に示しました。

具体的には、
一部のビットコインの保有者が価格をつり上げているのではないかという疑いがあるようです。
まだビットコインの市場は未熟であるととらえた結果、上場が見送られ、その後相場が急落しています。

確かにビットコインはごく少数の保有者が9割近くのコインを保有しているという説があり、
そもそも受給関係による価格の均衡という市場原理が動くかは、大いに疑問が残るところです。

後発のアルトコインも同じく、
すでに一攫千金を狙った大口保有者が巧みに理財商品(投資信託のような集団投資スキームの商品)
としてコントロールしている可能性は捨てきれません。
その真相は藪の中ですが、うまい話には必ず裏があるのが世の常。
「価格が100万倍になる仮想通貨がある」といった投資話がちらほらと聞こえてきますが、そうした話には特に注意が必要です。

もし、これから投資に踏み切るなら、それなりのリスクを覚悟しておくことが必要かと思います。