『新しい事業承継税制の概要と納税猶予制度のコンセプト』

平成30年4月1日から改正された、
「特例事業承継税制」について簡単に説明します。

新しい事業承継税制の概要

「事業承継税制」は俗称で、正式名称は
「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除」
「非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除」

この名称からも、
中小企業が発行する非上場株式に係る贈与税と相続税を
「猶予・免除」する制度であることが分かると思います。

経営者が保有する自社の株式を、
後継者に贈与or相続する時にかかる税金を一旦猶予し、
その後に一定期間保有することで免除する、というものです。

一般的な例を挙げてみます。

経営者Aさんが、
息子Bさんに全保有株式を贈与し、Bさんに事業をバトンタッチします。
この際、贈与を受けたBさんは、贈与税を納税しなければいけませんが、
事業承継税制を活用することで贈与税が一旦猶予されます。
(適用要件を満たす必要があります。)
猶予される期間は、Aさんが亡くなるまでとなり、亡くなった時点で猶予されていた贈与税は免除されます。

ここで留意したいのは、
贈与された株式は、Aさんの相続財産に戻されるという点です。
Aさんの他の財産と同様、株式も相続財産に計上して相続税が計算されることになりますが、
算出された相続税額に対して適用要件を満たせば、今度は新たに相続税の納税猶予が開始されます。

今回の改正は、事業承継税制の利用拡大に向けて、適用要件が抜本的に見直されています。改正の概要を下記に整理してみました。

・納税猶予対象株式…
株式総数の2/3まで → 取得した全ての株式に対して、納税猶予が適用される

・納税猶予税額…
対象株式に係る相続税の80% → 100%に拡大

・少数株主からの買取りについても納税猶予を適用

・雇用確保要件…
一定期間(5年間)の雇用平均80%を下回ると打ち切り
→ 平均80%を下回っても継続できる(都道府県に理由記載の書類提出)

・先代経営者の要件…
代表者1名からの承継 → 複数人(代表者以外含む)からの承継

・後継者の人数…
代表権者1名 → 代表権者3名まで

・譲渡、合併、解散をした場合の納税…
実際の譲渡価額により再計算した金額が納付金額の下限となる

その他のポイントとしては、
・恐らく議決権株式のみが納税猶予の対象になるのではないかという点

・平成35年3月31日までに特例承認計画を提出し、
平成39年12月31日までの贈与税または相続税に対して適用される点

・中小企業者に該当する必要があり、
資本金または従業員数のいずれかの要件を満たせばよいという点

などは押さえておく必要があるでしょう。

納税猶予制度のコンセプト

納税猶予制度のコンセプトは、
納税猶予を行いながら中小企業を継続していく」ということです。
その点を踏まえて、以下のことを確認しておきたいと思います。

・贈与税の納税猶予は、相続人の死亡、被相続人の死亡または贈与税の納税猶予の適用を受ける二次贈与を行った場合に免除される。

・ただし、被相続人が死亡した場合には、相続税の納税猶予の適用を受ける必要がある。

・相続税の納税猶予は、相続人の死亡または贈与税の納税猶予の適用を受ける二次贈与を行った場合に免除される。

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この記事を書いた人

広田 淳