2019/03/20

『金融検査マニュアルが廃止!?』2/2ページ

『金融検査マニュアルが廃止!?』2/2ページ

金融庁が目指すのは「機械的ではない実態把握」

金融庁は
「『不良債権を絶対につくらない』のではなく、
『適切なリスクテイクを通じて収益性と健全性を両立させていく』ビジネスモデルを実現しようとする場合には、たとえ簡素ではあっても機械的ではない的確な実態把握に基づいて債権管理を行っていくことが必要になる」というコメントを述べています。

言い換えれば、
「ある程度のリスクをとり、その分金利を高めに設定すればよい。その際には形式的な財務分析だけでなく、企業とのコミュニケーションを通じた実態把握が重要である」というメッセージです。
これは金融機関として当然のことであるはずなのに、現状の地域金融機関はリスク回避を重視するあまり異常な貸出金利の低下に苦しんでいます。

 

リスクをとらない金融機関は存在意義を失う可能性も

今後の地域金融機関の経営戦略として考えられるのは2つです。

1つは、中小企業への融資をコスト部門(コストは集計されるものの利益は集計されない部門のこと)として捉え、支店機能を含め国内融資業務を縮減していくこと。

もう1つは、メガバンクが中小企業融資から撤退する方針の中で、融資を回収できないリスクを受け入れる覚悟を決め、国内融資を拡充していくこと。
いずれ地域金融機関はこのどちらかの選択を迫られることになるでしょう。

そうした意味では、中小企業融資を全体でみればリスクをとった融資の割合が伸長していくことが期待できます。
一方、厳しい言い方ですが、リスクをとれない金融機関は存在意義を失い、淘汰・吸収され、オーバーバンキングと言われる国内の金融機関は減少し、中小企業融資の需給バランスが調整されていくとこが予想できます。

 

金融検査マニュアル廃止で中小企業への融資が増加する?

リスクをとった融資に積極的な金融機関の支店長や職員に次の質問を投げかけたところ、興味深い答えが返ってきました。
「今回の金融検査マニュアル廃止によって重要視する財務指標は変わるのでしょうか?」と聞くと、「重要視する点は特に変わりません。債務超過でないこと、そして、債務償還年数が10年未満という指標です。金融検査マニュアルが廃止されようがこの指標は実際に有効な判断材料でしょう」と話してくれました。

この「債務超過でないこと」「債務償還年数が10年未満」という2つの指標は、実際にCRDの評価にも大きく関係し、健全な財務を最も表している項目と言えます。
つまり、金融検査マニュアルが廃止されることで融資審査が厳しくなることはなく、これまでと変わらないことがわかります。
そして「格付け」などのデータよりも将来性や成長性を重視した評価に変わっていくことで、金融機関がリスクをとった融資に積極的になる可能性もあるでしょう。
今後の地域金融機関の動向には注目が必要です。