2019/03/15

『金融検査マニュアルが廃止!?』1/2ページ

『金融検査マニュアルが廃止!?』1/2ページ

金融機関の方針を示した「金融検査マニュアル」

「金融検査マニュアル」とは、
金融機関(銀行、保険会社、金融持株会社)の経営状況を金融庁の検査官が検査する際に用いる手引書のことです。
検査官が検査に用いるだけでなく、金融機関がマニュアルを参考にして自らの方針や内部規定を作成することを目的にしている点が特徴です。

マニュアルでは、金融行政の考え方を数値などでは表さず、方法論を示しています。
つまり、金融庁は「判断基準は金融機関自身で設けよ」という方針を、マニュアルを通して伝えているのです。
しかし、これによって金融機関の融資は、保守的に最低基準を設定しようとする傾向が主流となってしまいました。

 

借り手の実態の把握よりもデータ重視の融資が問題に

金融検査マニュアルは金融危機の時代には最低限のリスク管理態勢、法令遵守・顧客保護態勢を確立する上で、大きな役割を果たしたといえます。
しかし、長きにわたってマニュアルを用いた定期的な検査が反復された結果、さまざまな問題が出てきました。

実際の検査において金融検査マニュアルを用いていないのが現状です。
最近では金融機関に対して、企業の将来性などのより深い把握による融資を促しています。
しかし金融機関によっては、依然として借り手の実態を把握して将来的に損失が発生する確率を的確に見通す努力よりも、外形的な基準や過去のデータ、担保・保証等に着目して評価する方が安心であるという考え方が根強く残っているのも事実です。

そこで金融庁は、マニュアルがすでにその役割を終えていること、そして、マニュアルが残っている限りこうした問題がなくならないといった判断から今回の廃止を決めたようです。

 

格付上位に融資が集中し過度な低金利競争に発展

金融機関は企業に融資する際に、CRD(中小企業信用リスク情報データベース)を代表とするスコアリングモデル(項目を一定のルールに基づいて点数化し、評価するもの)を活用しています。
たしかに、膨大な中小企業の財務データを分析し、倒産確率などのリスクの指標を構築したシステムで評価すれば信用リスクは削減できます。
また、スコアリングモデルによる融資判断であれば個人責任を問われないこともあり、金融機関の担当者にとっては好都合です。

しかし、結果的には財務格付上位に融資が集中してしまい、これが過度な低金利競争を生み、今の地域金融機関同士の体力消耗線の原因となっています。
反対に、格付上位層の中小企業に対しては、リスクをとった融資が行われないという構造となり、金融庁はこうした貸出態度を「日本型金融排除」と評して問題視しているのです。