ものづくり補助金の申請手続き・採択されるポイントを徹底解説

  • 「ものづくり補助金について詳しく知りたい」
  • 「自分の事業はものづくり補助金の対象になるのか?」
  • 「ものづくり補助金の審査で採択されるにはどうしたらよい?」

このようなお悩みを抱えている事業経営者が多くいらっしゃいます。
数ある補助金の中でも「ものづくり補助金」は国の予算が多いことから、採択される可能性が高いのです。中小企業経営者にとって、「ものづくり補助金」は、活用しない手はありません。設備投資や設備開発を検討中の中小企業経営者は、この補助金制度を活用することをおすすめします。この記事では、ものづくり補助金制度の概要や採択される申請のポイント等を解説していきます。

1.ものづくり補助金とは?

ものづくり補助金とは、国の中小企業庁が実施する補助金制度で、正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。2009年に実施され、中小企業等を対象として生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する補助金です。融資のように担保や保証人が求められることもありません。原則、返済する必要がないのが大きなポイントです。ものづくり補助金は、補助、対象により3つの型があります。
「一般型」、「グローバル型」、「ビジネスモデル構築型」と、それぞれ補助金額や条件が異なります。

1.1 一般型

【通常枠】
新製品・サービス開発や生産プロセス改善等のための設備投資及び試作開発を支援します。補助上限750万円~1,250万円、補助率は中小企業者が1/2、小規模事業者が2/3に設定されています。


【回復型賃上げ・雇用拡大枠】
前年度の事業年度の課税所得がゼロの事業社が対象です。賃上げ・雇用拡大に取り組む事業社を支援します。補助金上限750万円~1,250万円、補助率は2/3に設定されています。


【デジタル枠】
DXに資する革新的な製品・サービス開発やデジタル技術を活用した生産プロセス、サービス提供方法の改善に取り組む事業社を支援します。補助金上限750万円~1,250万円、補助率は2/3に設定されています。


【グリーン枠】
温室効果ガスの排出削減に資する製品・サービス開発や炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービスの改善に取り組む事業社を支援します。補助金上限1,000万円~2,000万円、補助率は2/3に設定されています。

1.2 グローバル展開型

海外事業(海外拠点での活動を含む)の拡大、強化等を目的とした設備投資等の導入を支援します。補助金上限3,000万円、補助率は中小企業者が1/2、小規模事業者が2/3に設定されています。

1.3 ビジネスモデル構築型

中小企業30社以上のビジネスモデル構築・事業計画策定のための面的支援プログラムを補助します。補助金上限1億円、補助率は定額に設定されています。

参考:補助金事業の手引き

2.ものづくり補助金の対象は?

補助金の名前に「ものづくり」とありますが、製造業社限定の補助金ではありません。小売業、卸売業、サービス業も補助金の対象になります。すべての業種がものづくり補助金の対象となります。対象の条件としては、ものづくり補助金は、中小企業者向けの制度であるため、資本金または従業員数が一定水準以下である必要があります。

以下の通り、業種によって水準が異なります。

業種資本金従業員数
製造業、建設業、運輸業3億円以下300人以下
ゴム製品製造業3億円以下900人以下
ソフトウェア業又は情報処理サービス業3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
旅館業5,000万円以下200人以下
サービス業(ソフトウェア、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
その他の業種(上記以外)3億円以下300人以下

3.ものづくり補助金の審査基準とは?採択されるポイント

ものづくり補助金審査は、「技術面」「事業化面」「政策面」の3項目で採点されます。
3つの審査基準と採択されるポイントを解説します。

3.1 技術面

新製品・新技術・新サービスの革新的な開発につながっているのかというのがポイントです。同じ商圏の競合でまだ提供されていないサービス・技術・製品の開発が実現できるものが求められます。「技術面」は、審査採点の中で最も重要な項目とされています。しっかりと整理して明確にしておくことが採択の大きなポイントとなります。

3.2 事業化面

「事業化面」の審査項目の内容は、事業計画書(創業計画書)の内容と考えれば良いでしょう。自社の特徴、顧客、競合などの分析に加え、どのように事業を利益につなげていくのかといった戦略・ストーリーを説明することが求められます。

3.3 政策面

補助金を実施する政府が推奨する項目を満たしているかどうか審査します。政策の方針に沿った事業計画は優遇され、審査に有利になります。
以下の3項目に該当する事業者は審査で優遇されます。

  • 地域の特性を生かして経済への波及効果を及ぼすか
  • ニッチ分野においてトップの地位を築く潜在性があるか
  • 環境に配慮した持続可能な事業計画か 等

以上、ものづくり補助金の3つの審査基準(技術面、事業化面、政策面)について解説しました。申請にあたっては、これら3つの審査基準を満たしていることを意識することが重要です。

4.ものづくり補助金の申請から交付までの流れ

ものづくり補助金の申請から交付までの流れは、以下、⑦つの順序で行います。応募申請できる期間は限定されていますので、確実に1つずつ行っていくことが重要です。

①事前準備
ものづくり補助金は、「jGrants」という電子申請システムで申し込みをします。電子申請システムフォームに必要事項入力し、必要書類を添付して申請を行います。jGrantsを利用するには、事前にgBizIDプライムのIDとパスワードを取得する必要があるので、事前に取得しておきましょう。
gBizIDプライムアカウント作成するには→ https://gbiz-id.go.jp/app/rep/reg/apply/show


②公募開始、公募要領の提示
ものづくり補助金を運営する中小企業庁や、ものづくり補助金公式サイトで、最新の公募要領と申込書をしっかり確認しましょう。ものづくり補助金公式サイトから申請書を入手し、応募に必要な書類を作成しましょう。


③応募申請・必要書類作成
電子申請システム「jGrants」で申込を行います。
申込→https://www.jgrants-portal.go.jp/
入力画面に従い、必要事項を入力し、必要書類を添付します。

【必要添付書類】
■事業計画書
■決算書(2期分)
■賃金上げ計画の表明書
■海外事業の準備状況を示す書類(グローバル展開型のみ)
■審査における加点を希望する場合
  ・経営革新計画承認書
  ・開業届又は履歴事項全部証明書
  ・事業継続力強化計画認定書
  ・特定適用事業者該当通知書
■労働者名簿(小規模事業者のみ)
※添付書類が不足したり不備があると加点が得られないだけでなく、不採択の原因となる可能性もあります。必要書類を漏れなく添付するように注意が必要です。

④審査、採択通知
応募申請してから事務局による審査が進められ、応募事業者全員に対して採択か不採択の結果が通知されます。採択となった案件は、受付番号、商号又は名称、事業計画名、事業の実施場所等を中小企業庁のホームページ等で公表されます。

⑤交付申請・交付決定
補助金を受け取るために交付請求の手続きをする必要があります。詳細な手続きの手順は、改めて事務局から連絡が届きます。尚、交付決定後に補助事業実施場所を変更することは認められていませんので、注意しましょう。

⑥確定検査
事務局に実績報告書を提出し、確定審査が実施されます。

⑦補助金の請求、補助金の支払い
補助金額が確定したら事業者は請求書を送付し、補助金の支払いが行われます。以上、申請から交付までのおおまかな流れを説明しました。補助事業が終了した後5年間は、補助事業の遂行状況等を報告する必要があります。

【ものづくり補助金公式サイト】

さいごに

いかがでしたか?
今回は、ものづくり補助金の公募から申請、交付までの手順と流れ、申請方法を解説しました。ものづくり補助金は、公募期間が短く限定されているため、事前準備は早めに行いましょう。必要な書類が不足したり不備があると、不採択の原因となることもあります。必要書類は漏れなく添付し、不備がないよう注意することが重要です。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人