実務に影響がある令和2年度税制改正案と適用時期まとめ

2019 年12 月12 日に公表された令和2年度税制改正大綱の中から、実務に影響する改正項目についてご紹介します。

■ 所得税

未婚のひとり親に対する税制上の措置(大綱37ページ)
改正案:未婚のひとり親も寡婦(夫)控除(35 万円)が可能に
適用時期:令和2年分から

寡婦控除・寡夫控除の見直し(大綱38ページ)
改正案:寡婦控除に所得制限(合計所得金額500 万円以下)を追加、子ありの寡夫の控除額を35 万円(現行27 万円)に
適用時期:令和2年分以後

国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例の創設(大綱33ページ)
改正案:耐用年数を簡便法で計算した国外中古建物の「減価償却費に相当する部分の損失」はなかったものとみなして損益通算等を不可に
適用時期:令和3年以後

国外居住親族に係る扶養親族の見直し(大綱39ページ)
改正案:現行の年齢16 歳以上を原則16 歳以上29 歳以下、70 歳以上に変更(30 歳以上70 歳未満を原則除外)
適用時期:令和5年分以後

■ 資産税

固定資産税の現に所有している者の申告の制度化(大綱49ページ)
改正案:登記簿上の所有者が死亡し、相続登記までの間、現に所有している者=相続人等に氏名・住所等を申告させることができる
適用時期:令和2年4月1日以後の条例の施行日以後

使用者を所有者とみなす制度の拡大(大綱49ページ)
改正案:市町村が調査を尽くしても所有者が不明な場合は使用者を所有者とみなして固定資産税課税ができる
適用時期:令和3年度以後の年度分の固定資産税

特定資産の買換え特例(大綱76ページ)
改正案:一定の見直しを行った上で3年延長
適用時期:大綱では明記なし

■ 法人税

オープンイノベーションに係る措置の創設(大綱60・68ページ)
改正案:ベンチャー企業の出資の最大25%相当の損金算入を可能に
適用時期:令和2年4月1日から令和4年3月31 日までの間

交際費課税(大綱62・69ページ)
改正案:接待飲食費の損金算入特例は資本金の額等が100 億円超の法人を除外。それ以外は従来通りで2年延長
適用時期:大綱では明記なし

特定高度情報通信用認定等設備(5G)を取得した場合の特別償却・税額控除の創設(大綱62ページ)
改正案:設備投資で30%特別償却または15%税額控除
適用時期:特定高度情報通信等システム普及促進法の施行日から令和4年3月31 日までの間

連結納税制度のグループ通算制度への移行(大綱63ページ)
改正案:「グループ全体」を納税単位とする連結納税制度からグループ内の「各法人」を納税単位とする
簡素なグループ損益通算制度に移行
適用時期:令和4年4月1日以後に開始する事業年度から(連結納税制度からの移行は経過措置あり)

グループ通算制度への移行にあわせタイトル「単体納税制度」の見直し(大綱68ページ)
改正案:
受取配当等益金不算入制度の見直し
(1)関連法人株式等に係る負債利子控除額に概算控除(配当の4%。ただし負債利子の1/10 を上限)を導入
(2)関連法人株式等と非支配目的株式等の判定を100%グループ(現行:連結グループ内)の法人全体の保有株式数等で行う

寄附金の損金不算入制度の見直し
損金算入限度額の計算の基礎となる資本金等の額を「資本金の額と資本準備金の額の合計額」に

貸倒引当金の見直し
100%グループ内(現行:連結グループ内)の法人間の金銭債権を貸倒引当金の対象となる金銭債権から除外
適用時期:上記は大綱では明記なし(グループ通算制度と同時期?)

企業版ふるさと納税の拡充(大綱70・72ページ)
改正案:税軽減額を約6割(現行約3割)に拡充して5年延長
適用時期:大綱では明記なし

30 万円未満の少額減価償却資産の特例(大綱77ページ)
改正案:対象法人の要件のうち常時使用従業員数の要件を500 人(現行1000 人)以下に引下げ、2年延長
適用時期:大綱には明記なし

■ 消費税

法人に係る消費税の申告期限の特例の創設(大綱82ページ)
改正案:届出により申告期限を1月延長可能に
適用時期:令和3 年3 月31 日以後終了する事業年度の末日の属する課税期間から

居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度等の適正化(大綱84ページ)
改正案:居住用賃貸建物は仕入税額控除の対象外に(居住以外に利用することが明らかな部分は引き続き控除対象に)
※居住用賃貸建物:住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物で高額特定資産に該当するもの
適用時期:令和2 年10 月1日以後の仕入れから(令和2 年3月31 日までに契約を締結したものを除く)

以上